乳腺炎は、産後のママの4人に1人が経験すると言われており、人によっては陣痛よりも痛みを感じるほどつらい症状です。
今回は、そんな産後ママの天敵である乳腺炎の原因から予防方法をお伝えしますので、ぜひご覧いただき実践して乳腺炎にならない授乳生活を送っていただければと思います。
目次
- ○ 乳腺炎とは
- ○ 乳腺炎の種類
- ・うっ滞性乳腺炎
- ・化膿性乳腺炎
- ○ 乳腺炎の原因
- ・母乳が残ってしまっている
- ・乳頭の傷や亀裂
- ・乳房の圧迫や締め付け
- ・ストレスや体調不良
- ○ 乳腺炎の予防
- ・正しい間隔での授乳
- ・正しい授乳姿勢を保つ
- ・おっぱいのマッサージと温湿布
- ・乳頭ケアを欠かさない
- ・適切な衣類とブラの選び方
- ○ 乳腺炎になった場合の対処法
- ・乳腺炎の初期症状を見逃さない
- ・おっぱいをからっぽにする
- ・病院での治療
- ○ まとめ
乳腺炎とは
乳腺炎とは、授乳中のママに多く見られる疾患で、母乳を作る乳腺という部分が炎症を起こす状態を指します。授乳期の母親は、おっぱいに負担をかけることが多く、その結果、乳腺に炎症が発生することがあります。乳腺炎は痛みや腫れを伴い、場合によっては母乳をうまく分泌できなくなるなどの症状が現れます。
乳腺炎は、放置すると重症化する可能性があり、最悪の場合、膿がたまり膿瘍を形成することもあるため、早期に対処することが非常に重要です。
乳腺炎の種類
乳腺炎は2種類に分類され、原因や対処法が異なりますので、それぞれの症状や原因を解説していきます。
うっ滞性乳腺炎
うっ滞性乳腺炎は、母乳の流れが滞ることによって引き起こされます。授乳後におっぱいが完全に空にならず、母乳が乳腺内に溜まってしまう状態です。うっ滞性乳腺炎は、初期の段階で発症することが多く、症状が軽いこともありますが、放置しておくと重症化する可能性があります。
症状としては、おっぱいが張り、固くなり、痛みを感じることが一般的です。また、乳房が熱く感じることもあります。おっぱいがパンパンに張っている、授乳する時に痛みがある場合は、乳腺炎の可能性があるため、はやめに対処しましょう。
化膿性乳腺炎
化膿性乳腺炎は、うっ滞性乳腺炎が進行して細菌感染が起こり、膿がたまってしまった状態です。化膿性乳腺炎は、38℃以上の高熱、悪寒から乳房が非常に痛み、腫れることが特徴です。膿がたまることで、乳房がしこりを持つようになり、膿が外に排出されることもあります。化膿性乳腺炎は、うっ滞性乳腺炎が原因となって起こることがほとんどと言われています。
化膿性乳腺炎は、放置して慢性化してしまうと、慢性乳腺炎へと移行してしまいます。
乳腺炎の原因
乳腺炎の原因となりうる代表的な原因をいくつかご紹介します。
授乳時は母乳を出し切るなど、原因となりうる状況を作らないように授乳していきましょう。
母乳が残ってしまっている
授乳後に乳腺内に母乳が残ってしまうことが、乳腺炎の最も多い原因です。赤ちゃんがおっぱいをしっかり吸えていない、授乳の頻度が少ない場合には、母乳が溜まってしまいます。特に、乳房の一部がうっ滞しやすい場所にある場合、乳腺炎が発症しやすくなります。
排乳が出来ていないと、乳腺内の圧力を高め、乳腺の細胞が破裂し、炎症を引き起こす原因となります。授乳の際には、赤ちゃんがおっぱいを十分に吸っているかを確認し、片方の乳房が完全に空になるように心がけることが重要です。
乳頭の傷や亀裂
授乳中に乳頭が傷ついたり亀裂が入ったりすると、細菌が侵入しやすくなります。この細菌が乳腺内に入ることで、乳腺炎を引き起こすことがあります。
特に、赤ちゃんがうまく吸えていない場合や、授乳中に強く吸われると乳頭に傷がつきやすくなります。
乳頭の傷や亀裂が原因で乳腺炎を引き起こさないためにも、授乳後には乳頭のケアが重要です。
乳房の圧迫や締め付け
授乳中におっぱいが圧迫されることが原因で乳腺炎が発症することがあります。特に、サイズの合わない授乳ブラや締め付けの強い衣服を着用すると、乳腺の血流が妨げられ乳腺炎を引き起こす可能性が高くなります。
授乳ブラは、柔らかく通気性の良い素材を選び、乳房を適切にサポートするものを選ぶようにしましょう。
ストレスや体調不良
ストレスや体調不良も乳腺炎の原因となることがあります。授乳中は、睡眠不足などからママの体力が消耗し、免疫力が低下しやすい時期です。過度のストレスや疲れが溜まっていると、普段よりも乳腺炎になりやすくなってしまいます。
授乳期には、なるべくリラックスし、十分な休養を取ることが大切です。また、バランスの取れた食事を心がけ、体調を整えることが乳腺炎の予防にも繋がります。
乳腺炎の予防
乳腺炎を予防するためには、日々のケアが非常に重要です。特にうっ滞性乳腺炎では、溜まっている乳汁を除去する必要がありますので、授乳回数や姿勢はとても大切です。
以下の方法を実践し、乳腺炎を予防していきましょう。
正しい間隔での授乳
乳腺炎を防ぐためには、定期的に授乳を行い、おっぱいを空にすることが大切です。授乳間隔が長くなると、乳腺に母乳が溜まりやすく、乳腺炎を引き起こす原因になります。
目安としては、前の授乳から3時間以内を目安に、こまめに授乳するようにしましょう。
赤ちゃんがちゃんと吸えてなければ、回数だけ増やしてもおっぱいは空っぽになりませんので、ちゃんと吸っているかを確認しながら授乳します。
飲み切らずに余ってしまった場合は、搾乳しておっぱいの中に溜まっていないようにしましょう。
正しい授乳姿勢を保つ
授乳姿勢が不適切だと、乳頭に負担がかかり、乳腺炎を引き起こすことがあります。また、いつも同じ抱き方だと同じ乳腺の母乳ばかり飲むことになり、飲んでもらえない部分の乳汁がうっ滞しやすくなるため、横抱きと縦抱きや角度を変えるなどで、飲み残しを防ぎましょう。
おっぱいのマッサージと温湿布
おっぱいのマッサージや温湿布も乳腺炎の予防に有効です。授乳前に軽くおっぱいをマッサージすることで、血行が良くなり、母乳がスムーズに排出されやすくなります。
温湿布を使っておっぱいを温めることでも、乳腺のうっ滞を防ぎ、乳腺炎を予防することができます。
乳頭ケアを欠かさない
乳頭のケアも乳腺炎予防に欠かせません。乳頭に亀裂や傷ができると、細菌が入り込んで感染を引き起こす可能性があります。授乳後には、乳頭を清潔に保ち、保湿を行うことが大切です。乳頭クリームやオイルなどを使い、亀裂を予防し、乾燥から守りましょう。
適切な衣類とブラの選び方
授乳中には、乳房を圧迫しない適切な衣類やブラを選ぶことも大切です。母乳は血液から作られているため、血流が悪いと乳汁の流れも悪くなります。
ワイヤー入りのブラジャーや締め付けのきつい衣服を着ると、乳腺に圧力がかかり、乳腺炎を引き起こす原因になります。授乳ブラは、適度にサポートし、通気性の良い素材を選びましょう。
乳腺炎になった場合の対処法
乳腺炎は、早期に発見し適切に対処することで、症状を軽減し回復を早めることができます。
痛みや腫れを感じたら、はやめに相談することが大切です。
乳腺炎の初期症状を見逃さない
乳腺炎の初期症状は、おっぱいに軽い痛みや腫れを感じます。
この時点であれば早期に対処が可能です。最初に感じる痛みは、おっぱいの一部に圧力がかかるような違和感であり、授乳時や授乳後に強く感じることが多いです。
さらに、おっぱいが赤くなることがあり、局所的な熱感を感じることもあります。
もし、おっぱいの一部が硬くなり、触れると痛みを伴うような症状が現れたら、乳腺炎の初期兆候かもしれません。
不安な場合は、はやめに産婦人科や助産師に相談してください。
おっぱいをからっぽにする
乳腺炎にかかってしまった場合でも、授乳を続けることが非常に重要です。授乳を続けることで、乳腺がうっ滞している母乳を排出でき、乳腺内に滞留した母乳が原因となる炎症を軽減することができます。痛みがあっても、おっぱいを空にすることが乳腺炎を治すために最も効果的な方法です。
乳腺炎が進行している場合でも、赤ちゃんが吸うことによって乳腺が圧迫され、滞っている母乳を排出する助けになります。
また、赤ちゃんの吸引力が強いほど、おっぱいが柔らかくなり、炎症が和らぐ場合もあります。
もし、授乳時に痛みが強くなる場合は、赤ちゃんの吸い方や姿勢が原因かもしれません。赤ちゃんが乳首を正しく吸っていないと、余計に痛みが増すことがあるため、授乳姿勢を調整して、赤ちゃんが快適に吸えるように工夫し、授乳は続けていきましょう。
病院での治療
乳腺炎が進行し、高熱や乳房の激しい痛みを伴う場合には、早めに病院を受診するようにしましょう。
病院では、医師が乳腺炎の進行具合を確認し、必要に応じて抗生物質を処方します。抗生物質は、授乳中でも使用できるものが処方されるため、授乳を中止することなく治療を進めることが可能です。
また、化膿がひどくなり膿がたまった場合には、膿を排出するための外科的処置が必要になることもあります。ここまで我慢することなく、痛みや腫れを感じたら、ひどくなる前に助産師にはやめに相談しましょう。
まとめ
乳腺炎は、授乳期の母親にとって非常に厄介な問題ですが、日々の予防と早期の対処が非常に重要です。乳腺炎の初期症状に気づいた場合、授乳を続けることや適切なケアを行うことが、症状を軽減し、回復を早めるためのポイントです。正しい授乳姿勢や定期的な授乳、乳房のマッサージなどの予防策を実践しましょう。
しらさぎふれあい助産院でもおっぱいマッサージから母乳相談など受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。