助産院では嘱託医と連携医療機関を定めなければなりませんが、産婦人科はよく知っていても嘱託医って?と思われる方もいらっしゃると思います。
この記事では、嘱託医とはどのような働き方をしているか、どんな施設で勤務しているのかなどを解説していきます。
目次
- ○ 嘱託医とは?
- ○ 嘱託医の働き方
- ○ 嘱託医が活躍できる職場
- ・助産院
- ・保育園や学校
- ・生命保険会社
- ・高齢者向け施設
- ・一般企業(嘱託産業医)
- ○ 嘱託医のメリット
- ○ 嘱託医のデメリット
- ○ まとめ
嘱託医とは?
医療機関や介護施設、行政機関等から委託を受け、診察・治療をする医師のことを嘱託医といいます。
近年では、高齢化が進む影響から老人ホームなどの高齢者向け施設での需要が増加傾向にあります。
一般的には正規の常勤医とは異なる労働契約で働く医師のことを指します。ただ、嘱託医に明確な定義はないため、勤務先の契約内容によって仕事内容や待遇は異なります。
嘱託医の働き方
勤務形態としては1つの施設に常駐するのではなく、毎週決まった曜日に施設を訪問することがほとんどです。訪問時にそこの利用者の健康状態を診断し、適切な処置を行います。
また、1つの施設だけでなく複数の施設を担当する嘱託医も多く、地域の健康を支える重要な仕事といえるでしょう。
嘱託医が活躍できる職場
嘱託医は様々な施設や場所で必要とされております。特に嘱託医と繋がりが大切な施設をご紹介します。
助産院
分娩を扱う助産院では、医療法に基づき嘱託医を配置することが必要です。
助産所では、通常分娩しか取り扱うことができないため、分娩時の異常に対応できる人員を確保する目的で、嘱託医・嘱託医療機関を定めなければいけません。
出産だけでなく、助産所と連携しながら妊婦健診や新生児の保健指導などにも対応します。
保育園や学校
保育園や学校の嘱託医は、子ども達が安全で健康に生活できるよう、入園・入学前健診や日常の健康管理、発達を含む健康相談などに従事します。
また、アレルギー性疾患や発達障害児への対応、食中毒や集団かぜなどの対策、予防接種の推進なども行います。
生命保険会社
生命保険の加入時の検査は生命保険会社の社員である「社医」の他、委託された嘱託医が行う場合もあります。このような業務を行う医師を「診査医」と呼びます。
生命保険に加入する際には現在の健康状態の他、職業や過去の傷病歴などを診査医に告げ、告知書を作成する必要があります。
高齢者向け施設
高齢者施設などでも嘱託医の需要が高まっています。
特別養護老人ホームでは、入居者の健康管理および療養上の指導を行うために必要な数の医師を配置することが必要で、配置される医師は、「配置医師」や「配置医」と呼ばれます。
配置医は施設内にいる「かかりつけ医」の役割となり、健康管理や予防接種、処方箋の発行から看取りの支援などの業務を行います。
一般企業(嘱託産業医)
一般企業に勤務し労働者の健康を守るのが産業医の仕事です。
産業医として、職場訪問を行い、従業員の健康上の相談から悩みを抱えている従業員との面談や休職・復職の相談などを行います。
嘱託産業医の多くは普段病院などで医師として働いていますが、複数の企業をかけもちしている医師もいます。
嘱託医のメリット
嘱託医として働くことでの最大のメリットは、今までの勤務先とはまた別の勤務先で新たな経験を積むことでのスキルアップでしょう。
これまでの勤務先で培ってきた専門的なスキルを活かしつつ、分野違いの施設に勤務することで、これまでとは異なるさまざまな症例に出会う機会が増え、知識の幅も広がるでしょう。
また、嘱託医は訪問先や日程が決まっている事が多く、スケジュールを自分で管理しやすく自分の都合に合わせた柔軟な働き方が出来る事もメリットとなります。
勤務先が異なる事で、一緒に仕事をするスタッフも異なる点もメリットと感じる方も多いかもしれません。
職場の人間関係なども気にせず、いつも気持ちを切り替えて仕事に臨むことできます。
嘱託医のデメリット
メリットとデメリットは表裏一体の部分がありますが、自分でスケジュール管理をしなければならないことや、あちこち違う勤務先に出向かなければならないことが苦になる場合、嘱託医として働くことはデメリットとなる可能性があります。
また嘱託医は決められた時間の中で業務を効率よく進め、利用者の様子を把握しなければいけません。
業務を効率良く進める策をあらかじめ講じておかなければ、限られた時間の中ですべてを把握しきれない可能性も出てくるでしょう。
嘱託医の1番のデメリットとしては、雇用が安定しない事が挙げられます。
嘱託医は基本的に有期雇用契約のケースが多く、1年ごとの契約期間が定められており、必ず更新されるとは限りません。
常勤医師と異なり、来年の契約が確実ではないため安定的に働くことを望む場合は大きなデメリットとなります。
まとめ
嘱託医という言葉はあまり馴染みがないかと思いますが、助産院でお産を検討されている方に、嘱託医ってどういう方なのかを知っていただきたく、この記事を作成いたしました。
助産院での出産は、お母さんと赤ちゃんの健康状態に不安要素がない方に限られています。自然なお産になるには、妊娠中の過ごし方がとても大事です。
妊娠中や分娩中に、赤ちゃんやママに異常が見られて、医療の力を借りる必要ができた時には、嘱託医の医師や嘱託連携機関の病院にただちに転院や搬送になります。
しらさぎふれあい助産院でも嘱託医・嘱託医療機関と連携して、母子ともに安全で元気でいられるようにお産のサポートを行っておりますので、助産院での出産にご興味のある方はぜひお気軽にご相談ください。