出産経験のある方はご存じかと思いますが、それ以外の方にはあまり馴染みがない「助産師」という職業。
よく看護師さんなどと間違われることもありますが、女性の出産・妊娠から産後まで出産に関わる全てのサポートを行う「助産師」について本記事で詳しく解説していきます。
目次
- ○ 助産師とは??
- ○ 助産師の詳しい仕事内容
- ・出産前
- ・出産時
- ・出産後
- ○ 助産師の働く場所は?
- ○ 助産師になるには?
- ・同時に取得するパターン
- ・別々に取得するパターン
- ・働きながら取得するパターン
- ○ まとめ
助産師とは??
助産師とは読んで字のごとく「助産」、お産を助けるお仕事です。
少し難しい言葉になりますが、「保健師助産師看護師法」では、助産師の役割を以下のように定義しています。
【厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じょく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子】
※「じょく婦」とは、出産して間もない女性の事です。
つまり、お産の支援と妊婦・赤ちゃんのサポートを行うお仕事だと考えていただくとわかりやすいです。日本の法律では、助産師は女性のみが就ける職業となります。
助産師の詳しい仕事内容
次に、実際に助産師としての仕事内容を産前・出産・産後と段階に分けてみていきましょう。
出産前
食事や運動に関する「生活指導」や「健康指導」をおこないます。妊娠中は体調の変化や体重の増減など妊婦さんの身体の負担が大きくなります。助産師が食事の内容や運動指導、健康管理のサポートを行います。
妊婦さんが安心して出産を迎えられるように心の面をサポートすることも、助産師の大切な役目です。
特に初産婦の場合は、妊娠や出産に対する不安が多いため、妊娠中の過ごし方や出産への準備などのサポートも行っていきます。
また「産前教育」を通して母親・父親になる心構えを伝えたり、出産の基礎知識(陣痛の周期、出産から入退院までの流れなど)を教えたり、妊婦の相談に乗って不安を取り除いたりもします。
出産時
お産を助け、赤ちゃんを取り上げる「分娩介助」をおこないます。「病院・診療所」の一般的なお産では、医師1人、直接介助をおこなう助産師1人、赤ちゃんを受け取る助産師(または看護師)1人の3人体制でおこないます。
妊婦さんに分娩の兆候が見られたら、すぐに出産の準備にとりかかり、出産に入った妊婦さんに、心身の支えになるよう声掛けや体をさするなどの分娩介助を行います。
無事に赤ちゃんが生まれたら、正常に呼吸を確立できるよう吸引機で新生児の粘液を取り除くのも助産師の仕事です。
助産院での出産の場合は、正常分娩に限り助産師だけで分娩介助を行います。
帝王切開などの医療行為が伴う出産や、多児妊娠(双子など)や逆子妊娠などリスクが伴う出産は助産院では対応が出来ません。
出産後
入院中のじょく婦の体調管理、母乳指導、乳児の保健指導や育児指導(授乳・おむつ交換・沐浴)などをおこないます。また、退院後の1ヶ月健診で母子に異常がないか、退院後の生活や育児に関する悩みや不安に対するアドバイスも助産師の大事なお仕事です。
助産師の働く場所は?
助産師が働く場所は、厚生労働省が公開した「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると最も多いのが、病院で約61%、次いで診療所が22%、3番目が助産院で6%となりそのほかは各都道府県や市区町村の保健所や、看護施設などになります。
病院には医師や看護師など多くのスタッフが勤務しているため、緊急時にも適切な処置を行うことができるのが病院の特徴です。また無痛分娩など、病院でしか行えない分娩もあるため、幅広い出産の経験を積みたい方には病院への就職が良いかもしれません。
診療所の場合は、難しい症例の出産は近隣の大学病院や総合病院を紹介するケースが多く、正常分娩がメインとなります。
病院と比べてスタッフの数が少なく、妊婦さんとの距離が近いのが診療所の大きな特徴といえるでしょう。
助産師は助産院(助産所)の開業が認められており、しらさぎふれあい助産院のように独立して活躍する方も多くいらっしゃいます。
助産師になるには?
助産師になるには、国家資格である「助産師免許」と「看護師免許」の両方の免許を取得しなければいけません。それぞれの免許を取るためには、「助産師国家試験」と「看護師国家試験」の両方に合格する必要があります。
同時に取得するパターン
助産師になるための最短ルートは、看護大学(4年制)で看護師過程と助産師過程の両方を修了し、看護師国家試験と助産師国家試験の両方に合格して、それぞれの国家資格を取得するルートです。
しかし、助産師過程に進むためには、3年次に定員数の少ない選抜試験を通過しなければならず、狭き門となっています。
注意点として、助産師国家試験に合格しても看護師国家試験が不合格だった場合、助産師資格を得ることができません。
しかし、助産師国家試験の合格実績に有効期限はありません。翌年以降に看護師国家試験に合格すれば、助産師免許の申請ができます。
別々に取得するパターン
2つ目は、看護大学(4年制)・短大・専門学校(3年制)で看護師課程を修了し、看護師国家試験に合格して国家資格を取得してから、卒業後に短大・専門学校(1年)、大学院(2年)などで助産師課程を修了して、助産師国家試験を受験するルート。
同時に取得するパターンに比べると、別々に勉強する時間をしっかりとることができるため、知識や理解を深める事が出来ると言えます。
ただ、その反面、学生でいる時間が長いため経済的負担が大きくなってしまいます。
働きながら取得するパターン
最後は、看護師として働きながら助産師を目指すルートです。
別々に受験するルートと同様に、既に看護師国家試験に合格しているため、あとから助産師国家試験の合格を目指します。
ただ、働きながらの場合は、入試対策から普段の勉強、国家試験の対策と、非常に負担が大きくなります。
働きながらでも通えるカリキュラムや、職場の資格支援なども踏まえて考えていただくとよいでしょう。
まとめ
助産師は出産だけではなく、妊娠してから出産、生まれてきた赤ちゃんのサポートまでと命を預かる大切なお仕事です。
助産師になるまでは国家試験など勉強は大変で、誰にでもなれる仕事ではありませんが、その分だけとてもやりがいのあるお仕事です。
この記事をご覧いただき、助産師という仕事に興味をお持ちいただけたら幸いです。